大腸憩室症

大腸憩室と大腸憩室炎とは

腹痛腸管の外側に向かって、袋状のものができた状態を大腸憩室と言います。
先天性と後天性がありますが、後天性の方が多く、憩室(袋状の部分)の数もバラバラで人によって数個~10個以上と個人差があります。
この憩室に細菌が繁殖し、炎症を起こすのが大腸憩室炎です。憩室は便が出入りすることがありますがこれは問題ありません。しかし、何らかの理由で便が憩室に詰まってしまうことで、炎症を引き起こします。
大腸憩室が後天的に発生する理由として考えられているのは、近年の食事の欧米化です。食の欧米化が進んだことで肉食が広まり、食物繊維の摂取量が減少したことで、便秘が起こりやすくなります。便秘になると排便時に力が必要になり、腹圧が高まって、弱い腸管の壁の部分を押し出してしまうことで憩室が発生すると言われています。実際にアメリカで大腸憩室を発症している人の割合は60歳以下で50%、80歳以上ではほぼ全員という報告もあります。日本でも食の欧米化が進み、患者数が年々増えつつあります。
血管が通っている部分は筋肉が薄く、腹圧がかかると飛び出しやすいと言われており、腹部の右側(盲腸・上行結腸)と腹部の左下側(S状結腸)に大腸憩室ができやすいとされています。日本人の特徴として大腸憩室は右側の結腸に見られることが多く、高齢になるにつれて左側の結腸にも発生することが多いです。
大腸憩室は発症していても特に日常生活で症状を感じることはなく、稀に腹部の張りを感じることがあります。

大腸憩室炎の症状

炎症が起きている憩室の場所の腹痛、吐き気や嘔吐、発熱を伴うことがあります。ただし、感染性腸炎とは違い、大腸全体が炎症を起こすわけではないため、お腹の痛みは強いものの、下痢などの症状が見られないことが多いです。また、腹部の右側で憩室炎が発症した場合には急性虫垂炎との鑑別が重要となります。

大腸憩室炎の検査

大腸憩室炎は診察や下痢の有無などの症状で判断します。重度である場合は、提携の医療施設へお繋ぎし、採血やCT検査を受けていただくことがあります。
また、大腸憩室症の治療を行った後は、その経過と大腸憩室症以外の疾患がないかを確認するために、大腸カメラ検査を行うことをお勧めしております。
大腸憩室については、大腸カメラ検査を行った際に偶然発見されるケースが多いです。

大腸憩室炎の治療

症状が軽度である場合は、抗生物質の内服を行います。
腹痛が激しい場合や、炎症反応が高い場合は入院治療が必要になることがあります。入院治療では腸管を休めるために食事制限や絶食、点滴で抗生物質を投与するなどの治療が行われます。緊急性の高い汎発性腹膜炎は緊急手術を行うこともあります。
大腸憩室症の治療は軽度であれば5日ほどで改善しますが、症状が悪化してしまうこともあるため注意が必要です。
症状の悪化の傾向が見られた時は、1週間~10日程度入院治療を行います。穿孔などを発症して手術治療を行う場合は最大で1ヶ月程度の入院が必要になるケースもあります。

大腸憩室炎の診断・検査

血液検査、CT検査、超音波検査などを行い、炎症反応や炎症が起きている箇所の確認、虫垂炎ではないかなどを診断します。内視鏡検査で大腸憩室を直接調べることもありますが、炎症が強く症状が改善されていないうちは、腸管に穴を空けてしまうリスクが高く、症状の悪化を招く恐れがあるため、基本的には炎症の痛みが治ってから検査を行うのが一般的です。
気になる方はお気軽に当院へお越しください。小諸駅から徒歩3分でご来院いただけます。

大腸憩室を予防するための方法と治療後に注意するべき点

食物繊維の摂取を心掛け、便秘を防ぐことが大腸憩室の一番の予防となります。脂質や動物性たんぱく質の摂り過ぎも便秘になりやすくなるため、適量を心掛けるようにしましょう。便秘になりにくい体質を維持することで治療後の再発を防ぐことも可能です。

このページの監修者

髙橋 政義 Masayoshi Takahashi

髙橋 政義 Masayoshi Takahashi

医療法人社団 慈圭会 髙橋内科医院 院長

  • 日本内科学会認定医
  • 日本消化器病学会専門医
  • 日本消化器内視鏡学会専門医
  • 日本肝臓学会専門医
  • がん治療認定医
  • 日本医師会認定産業医
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